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断熱屋のぼやき

パッシブシステム研究会大合宿2

断熱屋のぼやき

見学の後会場について総会が行われ、つづいて北海道大学名誉教授の絵内先生の講義がありました。


開口部の設計と蓄熱についての講義でした。
北海道なので断熱性能は高くする技術は(特にこの会のメンバーは)かなり普及してきていますが、断熱だけで足りないのは「日射をどううまく利用するか?」という事です。
そのための開口部の設計と蓄熱が重要であるいう内容でした。太陽エネルギーをうまく利用することで暖房負荷を大きく低減させることが出来るので日射を使わない手はないのです。また、高断熱住宅は日射取得によってオーバーヒートが発生するという問題が起こる事があるのですが、これについては蓄熱容量を増やすことでこの問題にも対処でき、しかも外気温が下がった時に室温が下がるのも蓄熱された熱が防いでくれるため暖房負荷を減らすことが出来ます。
【通常の蓄熱量】

【蓄熱量3倍】

※上が室温で下が外気温を示しています。
上記の研究データを見ると、オーバーヒートについては、普通の家の場合最大室温が50℃近くまで上昇してしまうのが蓄熱容量を3倍(グラフでは2倍となっていますが0倍が1なので2倍は3となります)に増やすと40℃程度まで下がりかなり平準化ができます。室温の分布の75%は20~27℃程度の範囲に収まってしまいます。蓄熱容量3倍だと室温が20℃以下になる日も殆ど無くなり、暖房が殆ど必要ない状態が作れます。蓄熱についての研究はまだまだこれからですがこれから注目の技術になってくると思われます。
最後に絵内先生がまとめた言葉で印象に残ったのでご紹介さえていただきます。
「身の回りにある溢れんばかりの豊かさは、気が付かなければ見逃してしまうものばかり。
その中には、計測不能だけども、お金で買えない貴重なものもある。
精緻な環境制御に血道を上げるよりも、玄妙な自然の変化をそのままに活用する事こそが環境計画の基本。」

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