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セルロースファイバーのデメリットと実際に採用して後悔する理由とは?

住宅建築やリフォームにおいて、断熱材の選択は快適な生活環境を実現するために非常に重要な要素です。その中で、セルロースファイバーという素材が注目を集めています。しかし、実際にセルロースファイバーを採用した住宅に住む人々の中には、「後悔してしまった」という声も一部で聞かれます。そこで今回は、「セルロースファイバーの後悔」という観点から、そのメリットやデメリット、注意すべきポイントについて探ってみましょう。

 

 

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そもそもセルロースファイバーとは?

 

セルロースファイバーは、再生紙を主成分とする断熱材です。正式な表記はセルローズファイバーと濁るのですが、現在国内ではセルロースファイバーという呼び名の方が広く浸透しているようです。これは、新聞紙や古紙(一部段ボールなど)をリサイクルして作られており、地球環境にも配慮されたエコな素材と言えます。実はアメリカやカナダでは昔から一番普及している断熱材で、日本に入ってきたのは歴史が意外と古く1950年ごろです。当時は海外からの輸入でしたが、その後国内製紙メーカーが次々と自社生産するようになり、今日に至るという状況です。このセルロースファイバーは、細かな繊維により大量の気泡が詰まった構造をしており、これが断熱性能を発揮する仕組みとなっています。施工時には、壁や天井の中に吹き込まれ、高い断熱効果をもたらします。

 

セルロースファイバーを採用するメリットとは

セルロースファイバーには他の断熱材にはない様々な特徴があります。下のその代表的なものを7つ挙げます。

 

断熱性能 

セルローズファイバーは他の断熱材と比較しても高密度の施工となる為、断熱性能がとても高いです。冬もさることながら夏は特にこの断熱性能を顕著に体感でき、これはセルロースファイバーが他の断熱材よりも蓄熱性があることもひとつ起因しています。

 

防音性能

セルロースファイバーはその高い密度で施工されることによって、外部からの騒音を遮断します。これにより、室内の静寂な空間を保つことができます。子どものいるご家庭や、人を招くことが多い家庭、ご近所が音に敏感なところにお住いの場合や2世帯住宅の方にもおすすめです。

 

吸放湿性能

セルロースファイバーは調湿性に優れ、湿気を吸収し放出する特性があります。これにより、室内の湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時は湿気を放出するので、室内の湿度が一定に保たれやすく、結露やカビの発生を抑える効果が期待できます。先人の知恵として濡れた靴を乾かすのに丸めた新聞紙を入れるとすぐ乾くというのを聞いたことがあるかもしれませんが、新聞紙が原料となっているセルロースファイバーも同じように調湿性能が高いのです。

 

防火性能

セルロースファイバーに含まれるホウ酸が防火性を向上させます。火災時も表面が炭化することにより、空気との絶縁層が生まれ燃え広がりにくく(燃えしろ設計)、家の安全性を高める要素となります。

 

防虫性能

同様にホウ酸の影響により、セルロースファイバーは害虫の侵入を防ぐ効果があります。室内の快適性を損なう被害を軽減します。(ゴキブリ駆除にもホウ酸団子は使われておりますし、ホウ酸を使ったシロアリ防蟻材というのもありますよね)

 

施工性の高さ

セルロースファイバーは吹き込み施工が可能で、特に外壁に多い筋交いや配線・コンセントボックス回りなどの細かな隙間にも均一に充填されるため、他断熱材よりも施工の隙間率が低く、高い断熱効果を実現します。

 

自然素材

セルロースファイバーは、木質系繊維で他の添加物も全てが自然素材のため、シックハウス症候群やアスベストのような問題がなく安心・安全です。そのため、家族の健康を守るための選択肢としても注目されています。

 

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セルロースファイバーのデメリット

そんな性能面でメリットの多いセルロースファイバーですが、デメリットについても説明します。お家づくりで実際に採用を検討される際には下記6つの観点に留意してください。

 

コストの問題

セルロースファイバーのデメリットは他の断熱材よりも費用がかかることです。理由として一般的な断熱材はかかるコストが材料費のみに対して(施工は大工さんが行うため)、セルロースファイバーは材工(材料と専門業者の施工費の合算)となるため、単価のみの比較では金額が高くなります。これから2~30年住むお家に対してこの金額差をどのように考えるかは人によって変わってくるかと思います。しかし、近年は高気密高断熱のお家が増えてきており、求められる断熱材の厚みも厚くなってきております。通常他の断熱材では厚みが倍になると費用も倍になりますが、セルロースファイバーは費用全体の施工費が占める割合が高いので必要となる断熱材の厚みが倍になっても費用は倍になりません。そのため、断熱材の厚みが大きい物件についてはその金額差は小さくなります。

 

施工技術(精度)の問題

断熱施工においてはどこまでが断熱層となるのかを判断・理解するための十分な知識が不可欠となります。また屋根や外壁への吹き込み工法の場合は、いかに沈下させずに施工するかの工夫が重要となります。残念ながら専門施工業者の中には、この二つの要素のどちらかあるいは両方が欠けている業者がいるのも事実です。セルロースファイバーを施工して天井から落下したという話も、セルロースファイバー自体の問題というよりは施工者の収め方の問題となってきます。セルロースファイバーに限った話ではありませんが、断熱材を検討する際はどういった人が断熱施工をするのか、知識・経験は十分なのかをよく確認しておくことが大切となります。

 

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施工期間の問題

セルロースファイバーの施工にはシート張りをしてから吹き込み工法(あるいは吹き積もらせ工法)という手順を踏むため、他の断熱材の施工と比較すると日数が必要(通常2日~1週間前後)となることを、作業工程で考慮していただく必要があります。また、セルロースファイバーの施工後は壁の中が全て埋まってしまうため、事前に壁の中を貫通する配管や配線は準備していただく必要があります。基本的にセルロースファイバーの施工の間は他の業者様や大工さんは現場をあけていただくことが多いですが、例えば2階建てのお家の施工をする場合、1階でセルロースファイバーの施工をする日は大工さんが2階で、2階で施工をする日には大工さんが1階で作業をするといった方法をとることもあります。

 

施工時にはある程度の厚みが必要となる

セルロースファイバーの熱伝導率は0.040w/hkと他断熱材と数値のみで比較すると平均的な値となっております。そのため、熱伝導率が0.040w/hkよりも低い断熱材と比較すると同じ熱抵抗値を確保するために求められる施工厚みは厚くなります。しかし、施工厚みが増えたとしても床であれば大引き材の間、壁であれば間柱の間、屋根であれば野縁から梁までの空間に収まれば問題ありません。

 

ホースの先端が入る隙間が必要

セルロースファイバーを充填するには吹込み用のホースの先端が入らなければなりません。そのため、ホースの先端よりも細い隙間はセルロースファイバーで施工することができません。(窓サッシの枠のまわりなど)そのような部分については他の断熱材で代用する必要があります。

 

施工中は材料が空気中をまう

セルロースファイバーは専用の機械で大量の空気に乗せて施工箇所に送り込みます。そのため、人体に害はありませんが施工中は多少セルロースファイバーの材料が空気中をまうことがあります。特に既存住宅で断熱リフォームをする際には間仕切りなどの隙間からセルロースファイバーが多少出てくることがあるので事前に養生をしていただく必要があります。

 

セルロースファイバーを採用して後悔するパターン

これはセルロースファイバーだけではなく他の断熱材にも共通して言える問題でもありますが、断熱材で問題となるのはきちんと施工されないことにより生じる断熱欠損です。きちんとした断熱施工が出来ていない家は、「断熱効果のある家」ではなく「ただ断熱材が入っている家」になってしまいます。

セルロースファイバーを採用して後悔するパターンというのはほとんどが専門業者の知識不足あるいは技術不足による施工不良に起因するものだといえます。

 

パターン①施工範囲の隙間を塞ぎ切れていない

セルロースファイバーは形がないため、大きな隙間があると吹き込み施工あるいは吹き積もらせの施工をした際にその穴から材料が全て落ちてしまいます。そのため、事前に監督さんや大工さんと現場打合せをして、断熱材の収まりや塞いでおかなければいけない隙間等を全て確認する必要があります。実際に、ある専門業者が施工した天井断熱の吹き積もらせ工事の現場では間柱の気流止めを忘れていて隙間から断熱材が全部落ちていました。これは経験や知識が不足しているからこそ起こってしまった悲劇と言えます。また、ダウンライトがある場合にも適切な処置をほどこしておかないと、いざ取り付ける際に大量のセルロースファイバーが落ちてきたという状況になってしまいます。

 

パターン②沈下による断熱欠損

セルロースファイバーは他の断熱材と比較して重みのある断熱材となります。そのため、施工後の沈下を防ぐための適切な対策が必要となっています。この対策が十分にできていないと写真のように施工後に沈下によって上の方に隙間が生じて断熱欠損となってしまいます。

 

パターン③湿式吹付施工での例

接着剤を用いた湿式吹付施工もセルロースファイバーの施工方法の一つですが、施工後、接着剤がまだ固まる前に振動や施工面に物が当たったことにより、断熱材が屋根や壁からこぼれおちてしまうことがあります。海外と比較すると国内は高温多湿な気候なので、乾くのに時間がかかります。湿式吹付施工後は完全に接着剤が渇くまでは他の作業は中断することが望ましいです。

 

セルロースファイバーで後悔しないための注意点

セルロースファイバーを採用する際には、適切な専門業者の選定も重要な要素です。そのため、安価な工事業者に頼るのではなく、しっかりとした経験とノウハウのある信頼できる専門家を選ぶことが重要となってきます。

 

実際にセルロースファイバーの家に15年住んだ感想

個人の体験談とはなりますが、実際に筆者は都内でセルロースファイバー断熱をした家(約30坪の2階建て)に15年住んでいました。セルロースファイバーのお家に住んでいるとこのような実感があります。

①エアコンの電力消費が低い

猛暑日と言われる日でも2階に取り付けたエアコン1台稼働させるだけで、1階まで涼しく過ごすことができます。

(温度設定は29~28℃)1階は階段から降りてくる冷気を扇風機で部屋に回すだけで十分です。(※エアコン1台で十分なのは間取りの影響もあります)

②夏場の小屋裏・ロフトが涼しい

小屋裏とロフトは吹き抜けで2階とつながっていましたが、エアコンがついていれば夏でも涼しいです。

③音が静かで快適

1階の寝室にいても2階リビングの音が気にならない。(テレビの音や同居人のダンスの練習の足音も気にならないレベル)

雨が窓を打ち付けるほど強くなければ、雨が降っていることに外に出るまで気付かないほど屋根の音も防いでくれる。

④冬場は足元が冷たくない

家が高断熱で室内の温度が均一になるので暖房をしていれば足元が寒いということがありませんでした。

 

まとめ

セルロースファイバーは他の断熱材と比較すると高価ですが、隙間なく施工されるため確実な断熱効果を得られ、住み始めてからの冷暖房費用がかからないので長期的なライフサイクルコストを安くすることができます。また、再生紙を原料とする地球環境に配慮された断熱材として、高性能な断熱性能だけでなく調湿性能や防音性能などの様々なメリットを得ることもできます。しかしながら、施工の質によっては効果が発揮されないこともあり、これが後悔の原因となる恐れがあります。そのため、施工業者の選定や施工の品質管理には細心の注意が必要です。信頼性の高い業者に依頼することで、セルロースファイバーの持つメリットを最大限に引き出し、快適な住環境を手に入れることができるでしょう。

 

他とは違うマツナガのセルロースファイバー「MSグリーンファイバー」とは

マツナガのセルロースファイバーはメーカーとの共同開発で製造過程で麻の繊維を均一に配合することにより、業界で初めて沈下防止に成功しました。(第三者機関での沈下試験でも認定を取っております)マツナガではこの沈下対策用麻入りセルロースファイバー「MSグリーンファイバー」を最低60kg圧/㎥という高密度で施工をしております。また、施工は請負ではなく、社内教育を受けた自社正社員による完全責任施工をすることにより断熱施工の品質も担保しています。もし、セルロースファイバーにご興味があればマツナガのセルロースファイバーをお試しください。

 

 

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(作成日:2023年8月28日)

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