コラム

Column

パッシブな家ってなんだろう?

パッシブデザインとは

パッシブデザインとは自然エネルギーを上手に活用するための家づくりの考え方です。しかし「パッシブ」は直訳すると「受動的」。”受動的なデザイン”というのはどういうことなのでしょうか?
理解のためのキーワードは「エネルギーの種類とその活用方法」。では「どのようなエネルギー」を「どのように活用」すればよいのでしょうか?

自然エネルギーと人工エネルギー

一般的にエネルギーと言えば、石炭、石油、ガス、電気といったものを想像されるのではないでしょうか?これらはエネルギー源として存在し、人間がこれらを燃やしたりすることでエネルギー(熱や動き)を作り出すことができるため、人工的なエネルギーと言えます。近年の科学の発達に伴い、人類は密度の高い人工的なエネルギーを使い、思い通りに環境を作ることが出来るようになりました。

これに対して自然エネルギーである太陽、風、雨、雲、水、地熱、蓄熱、氷、雪、蒸発、熱対流、放射、温度差、植物などは無償かつ無限にあるエネルギーです。エネルギーとしてはとても密度が低く微弱な力しか持っていないものばかりです。これら自然エネルギーは人工的なエネルギーと違いコントロールが難しく思い通りに制御できません。しかし人類はこの自然エネルギーを工夫しながらうまく活用して暮らしてきました。

パッシブとアクティブ

人類が主体的にエネルギーを作り、それを使い、またコントロールして環境を作ることを「能動的」=「アクティブ」というのに対し、昔から人類がそうしてきたように、自然の中にあるエネルギーを受け取り、最大限に活用することを「受動的」=「パッシブ」と表現することができます。

産業革命以降の技術革新により、現代の生活は「アクティブ」な技術、つまり人工的に作られたエネルギーによって支えられています。しかし人工的なエネルギーは有償でかつ有限であり、近年の環境汚染にも繋がっています。 これに対して、私達の考える「パッシブ技術」とは、例えば温度差を上手に活用する「自然換気」のように、自然エネルギーをうまく活用する技術なのです。

自然エネルギーの活用

繰り返しになりますが、自然エネルギーは地球上至る所に有り無限にあるエネルギーです。人工的なエネルギーと比べとても力が弱く、単体では十分にそのエネルギーをうまく活用できないので、様々な工夫や繋がりが必要になります。

例えば、寒い時に人工的なエネルギーであるストーブを使えばどんな状況でもあっという間に暖を取ることが出来ます。換気も機械ファンを使えばいとも簡単に換気を行うことが出来ます。

しかし自然エネルギーである太陽熱や温度差による自然換気はそうはいきません。その日射をうまく取り込みその熱を逃がさない技術、室内外の温度差を上手に作る、「断熱」や「気密」をしなければその熱や温度差を活用することは出来ないのです。

建築におけるパッシブ技術とは、人工的なエネルギーと違い自然エネルギーという微弱な力を最大限に利用するための建築技術&手法で、なるべく機械に頼らない家づくりを目指した技術なのです。

パッシブ技術にはアクティブな人

自然エネルギーをうまく活用したパッシブ(=受動的な)住宅は、実はできあがった時点でパッシブな生活が送れるかというとそうではないのです。 自然エネルギーを最大限に生かすために住む人がアクティブ(=能動的)である必要があります。

風や外の空気を活用するためには窓を空ける、太陽熱を利用しようと日射を入れるためにはカーテンを開ける、日射を遮るためにはオーニングを下げたりカーテンを閉めたりする・・・住人が環境を感じその操作を行わなければなりません。もちろん機械=アクティブ技術を使えばもちろん自動で行うことも出来ますが・・・それではパッシブな家とは言えなくなってしまいます。

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