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断熱屋のぼやき

パッシブデザインについて

●パッシブデザインとは

最近流行りの「パッシブ」という言葉、住宅業界で色々な場所で色々な意味で使われています。なにか聞き心地の良い言葉ですが、もしかしたらみなさんにとって、どういう意味か解ったようで実はよく解らない言葉ではないでしょうか?定義がない曖昧な言葉かもしれません。そこで私達の考えるパッシブについてお話したいと思います。

 

●「パッシブ」と「アクティブ」

まず「パッシブ」という言葉の意味ですが、直訳すると「受動的」という意味になります。

受動的と言われてもわかりにくいですよね。

まず、一般的にエネルギーと言えば、石炭、石油、ガス、電気と言ったエネルギーを想像されるのではないでしょうか?これは言ってみれば人工的なエネルギーと言えます。

それに対して、自然エネルギーとは太陽、風、雨、雲、水、地熱、蓄熱、氷、雪、蒸発、熱対流、放射、温度差、植物など無償かつ無限にあるエネルギーです。しかしエネルギーとしてはとても密度が低く微弱な力しか持っていません。そして人工的なエネルギーと違いコントロールが難しく思い通りに制御出来ないため、その活用には工夫が必要で、人間はそのエネルギーを活用する立場といえます。

しかし、人類は古来この自然エネルギーをうまく活用してきたはずです。

近年の科学の発達に伴い、人類は密度の高い人工的なエネルギーを使い、思い通りに環境を作ることが出来るようになりました。ただし、そのエネルギーは有償でかつ有限、それが近年の環境汚染にも繋がっています。

 

以上の事から、自然エネルギーの活用については、「自然にあるエネルギーを上手に活用する」=「受動的」=「パッシブ」、人工的なエネルギーの利用は、「自らエネルギーを使い環境を作る」=「能動的」=「アクティブ」と言えるのです。

 

●自然エネルギーの活用

私達の考えるパッシブ技術とは、まさにそういった自然エネルギーをうまく活用する事にあります。例えば自然換気は温度差を上手に活用する技術です。

繰り返しになりますが、自然エネルギーは地球上至る所に有り無限にあるエネルギーですが、人工的なエネルギーと比べとても弱い力なので、単体では十分にそのエネルギーがうまく活用出来ないので、様々な工夫や繋がりが必要になります。

 

例えば、寒い時に人工的なエネルギーであるストーブを使えばどんな状況でもあっという間に暖を取ることが出来ます。換気も機械ファンを使えばいとも簡単に換気を行うことが出来ます。しかし自然エネルギーである太陽熱や温度差による自然換気はそうはいきません。その日射をうまく取り込みその熱を逃がさない技術、室内外の温度差を上手に作る、「断熱」や「気密」をしなければその熱や温度差を活用することは出来ないのです。

ですので、建築におけるパッシブ技術とは、人工的なエネルギーと違い自然エネルギーという微弱な力をを最大限に利用するための建築技術&手法で、なるべく機械に頼らない家づくりを目指した技術といえるのです。

 

●パッシブ技術にはアクティブな人

しかし自然エネルギーをうまく活用したパッシブ=受動的な住宅は、その自然エネルギーを活かすために、そこに住む住人にはアクティブ=能動的が求められます。

なぜならば、風や外の空気を活用するためには窓を空ける、太陽熱を利用しようと日射を入れるためにはカーテンを開ける、日射を遮るためにはオーニングを下げたりカーテンを閉めたり・・・住人が環境を感じその操作を行わなければなりません。

もちろん機械=アクティブ技術を使えばもちろん自動で行うことも出来ますが・・・それではパッシブでは無くなってしまうのです。

 

パッシブ技術には、住み手の参加と生活の知恵が重要です。自然エネルギーとは無償であるが故、伝える人が少ないので自ら勉強する必要があります。(有償であるからこそ宣伝する人や伝える【販売する】人がいる)

パッシブ技術を実現するためには、住まい手も創り手も「アクティブ」=「能動的」である必要があるのです。

 

従って

「住む人がパッシブな生き方」=「パッシブ技術を活用したい」場合、「住まい手はアクティブ」になる必要があります。そして「住む人がパッシブ」であるならば「建物はアクティブ」である必要があると言えるのです。

 

さあ、あなたが選ぶ家づくりはどちらでしょうか?

 

(本文に、北海道大学名誉教授:荒谷登先生の著書「住まいから寒さ・暑さをとりのぞく」から、多くの言葉をお借りしました。有償で欠点対応型の人工エネルギー、無償で良さ発見型の自然エネルギー活用という荒谷先生の言葉はとても身にしみる言葉です。とても深い本ですので、家づくりにご興味の有る方には絶対ご一読頂きたい名著です。)

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